猫の診療

猫の診療

パンダ動物病院では猫ちゃんの生涯が健やかで幸せな時間となるように、生まれてから一生を終えるまでにわたってのトータルケアを提供させていただきたいと考えております。
猫ちゃんに必要な各種予防、治療、手術に取り組むなか、特に尿路疾患、猫風邪、皮膚疾患、消化器疾患、歯科疾患、また慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症、心筋症のような慢性疾患に注力して診療しています。

◆ 猫に優しい診療のためのお願い

猫ちゃんは、元来警戒心が強く、慣れない場所に行くことを嫌がります。動物病院に行くと「シャー!!」と威嚇したり、逃げ出そうとしたりすることも自然なことと言えます。
そんな猫ちゃんたちが安心して診察を受けられるように、私たちもできるだけ優しく接し、興奮しないようになだめるように努めますが、やはり飼主様のご協力が必要になることが多々あります。
猫に優しい動物病院であるために、飼い主様に下記のことをお願いしております。
 
〇 ご来院時
猫ちゃんが来院する場合、キャリーバッグはとても重要になります。猫ちゃんのキャリーへの出し入れに手間取ってしまうだけで、猫ちゃんは病院嫌いになってしまうことがあります。当院では下記のようなキャリーケースが来院に最適と考えています。
 
① キャリーの形
上が開くタイプや上蓋が取れるタイプが便利です。上からそっと抱き上げると猫ちゃんが興奮しにくいですし、もし興奮しても上から毛布などで包みながらキャリーから出してあげることができます。
猫ちゃんを横から引っ張って出そうとすると、猫ちゃんが怖がってしまい、怒りだしてしまう可能性が高くなってしまいます。
また、上開きのキャリーであれば、呼吸状態の視診や皮下注射であればキャリー内に入ったままでも行うことができます。
② キャリーの材質
爪の引っかからないプラスチック製がいいでしょう。布製や藤製キャリーの場合、猫ちゃんが爪を立てることで、取り出すのに手間取ってしまい猫ちゃんを興奮させてしまいます。
また、洗濯ネットは、猫ちゃんの動きを制限できるとともに、観察や簡単な皮下注射などをネットに入ったまま行うことができます。
どうしても興奮してしまう猫ちゃんは、洗濯ネットに入れたうえでキャリーケースに入れていただくのがおすすめです。
 
〇 待合室
待合室では他の動物の気配をできるだけ伝わらないようにするため、飼い主様やネコちゃん自身のにおいが付いたタオルや毛布などでキャリーを覆ってしまうと落ち着きやすくなります。
 
〇 診察室
診察室にはキャリーに入れたまま、ご入室ください。キャリーの中で固まってしまう子か、自分から出てきてくれる子なのか、出してあげた方がいいのかをこの段階で判断します。
基本的に出し入れはスタッフが行うようにいたしますが、猫ちゃんからは飼主様が見えるようにご協力お願いします。飼主様に出し入れしていただいた方がスムーズな猫ちゃんの場合は、飼い主様にお手伝いをお願いする場合がございます。
 
〇 処置
注射などの各種処置は基本的にはスタッフが行いますが、飼主様さんと離れると不安になってしまう猫の場合は飼主様にお手伝いをお願いす場合がございます。
 
〇 処置中
処置中に大きな声で「○○ちゃん!ダメよ!」など声をかけるとかえって興奮してしまいます。声をかけるのであれば小さく穏やかな声で名前を呼ぶか、「ここにいるからねー」など近くに飼い主さんがいることを伝えて安心させてあげるようなイメージで声をかけてあげてください。
 
〇 ご帰宅
多くの猫ちゃんが、治療後は自分からキャリーに入っていきます。「来るときは入れるのは大変だったのに」と言われる飼主様も多くいらっしゃいます。帰宅後はよくほめてあげてください。頑張ったご褒美としておやつやおいしい缶詰をあげるのもいいでしょう。
猫に優しい診療は、飼い主様と私たちスタッフが一体となって取り組む必要があると考えています。ぜひご協力をお願いします。
また、ご質問やご要望がある場合は、遠慮なくスタッフまでお声がけください。
 

 猫ちゃんの避妊・去勢手術について

〇 避妊・去勢手術は何で必要なの?

避妊・去勢手術の一番の目的は、猫ちゃんが人間社会の中で家族の一員として心身ともに健康で幸せに暮らすことにあります。
手術を受ける事でストレスの回避や病気の予防が期待でき、また望まれない妊娠を避けることができます。

〇 手術の時期はいつ頃がいいですか? 
女の子も男の子も生後5~6ヶ月頃での手術をおすすめします。

特に女の子は、避妊手術は12か月までに!!
表のように12か月齢を境目に乳腺腫瘍の予防効果は大幅に下がってしまい、2歳を超えてしまうと乳腺腫瘍の予防効果は望めなくなってしまいます。
また、猫ちゃんの乳腺腫瘍の約80~90%が悪性のがんであることから、早期避妊手術はとても重要といえます。

猫ちゃんの避妊手術による乳腺腫瘍の予防効果
6か月齢までに手術 91%
7~12月齢 86%
17~24月齢 11%
24か月齢以降 0%

〇 避妊・去勢手術ってどんな手術?
 ・ 女の子:全身麻酔下で開腹し、左右の卵巣と子宮を摘出します。
 ・ 男の子:全身麻酔下で陰嚢を切皮し、左右の精巣を摘出します。

〇 入院期間はどれくらいですか?
 ・ 女の子:手術当日と翌日の2日間(1泊2日)の入院になります。抜糸までは約10~14日です。
 ・ 男の子:日帰り手術になります。朝から夕方(概ね10:00~17:00)までの入院になります。
  ただし、年齢や健康状態、術後の容態により入院期間の延長が必要な場合があります。

〇 停留睾丸の場合の去勢手術について
精巣が陰嚢の中でなく、皮下やお腹の中に留まっていることを停留睾丸と呼びます。停留した睾丸は正常な位置にある睾丸に比べて腫瘍になる可能性が高いとする報告もありますが、これも去勢手術で予防することができます。
精巣がお腹の中に残ってしまっている場合は、女の子と同様に開腹手術になります。

安全な手術を行うために

当院では安全な手術を行うために、手術前の検査、徹底した衛生管理、安全な麻酔管理、手術件数の制限を常に心がけ実行しています。
避妊手術・去勢手術は実施する機会が多い手術ですが、けして簡単な手術というわけではありません。常に慎重に考え、どんな小さなことにも妥協しない姿勢で手術に挑むことが当院の考えです。

*避妊・去勢手術の料金は猫ちゃんの年齢や全身状態、術法、使用機器などにより変わります。